保育士はとてもやりがいのある仕事ですが、残業や持ち帰り仕事が多い、有休をとりづらい、行事など土日祝日の勤務が多い、などプライベートとの両立が難しい職種であると言われています。
妊娠や出産を機に仕事が仕事から離れてしまう保育士も多く、潜在保育士の数は全国で約95万人というデータがあるほど。

今回は、認可保育園の保育士を経て、現在はフローレンスで子育てと仕事を両立しながら、週4日勤務のおやこレスキュー隊員(※)として活躍する三橋のインタビューをご紹介します。
※フローレンスでは訪問型病児保育を通じて親子支援をするスタッフのことを「おやこレスキュー隊員」という愛称で呼んでいます。

【プロフィール】
認可保育園での保育士から、フローレンスの病児保育スタッフへ転職。2017年4月入社。2人の子育てと仕事を両立しながら、
週4日勤務の月給制スタッフとして勤務中。さまざまなお子さんの病児保育にあたりながら、新人スタッフの指導も担当している。


「週4日正社員」という働き方。

――三橋さんは以前も保育のお仕事をされていましたが、プライベートと仕事の両立など、当時と比較していかがですか?

三橋: 以前と比べて、子どもとの時間が取れるようになりました。自分のやりたいこと、行きたい場所、そういうものごとに時間が取れるようになったかなという気がします。
1日の勤務時間が長い日(※)もありますが、保育園勤務の時は、終わりの時間が見えないというか、勤務時間は決まっていてもその時間には絶対に帰れなかったんです。帰ろうと思えば帰れたのかもしれないですが、帰れる雰囲気でなかった、という感じでしょうか。
でも今は「親御さんが帰宅されたら、その日の勤務は終わり」というお仕事なので、終了時間がはっきりしています。通勤に時間がかかる日もありますが、それでもやっぱり、時間でしっかり退勤できるという点は大きいですね。

※フローレンスの病児保育では、1人のスタッフが最長10.5時間、マンツーマンで保育にあたります。

――保育園勤務の時は、どうして帰れなかったんですか?

三橋: 前職では、正社員ではなかったですが担任を任されていました。
勤務時間は、クラスで子どもたちの保育にあたり、書類作成などは、勤務終了後に行っていました。書類作成や翌日の準備、行事の準備などで、結構遅くまで保育園にいることが多かったんです。家も近かったので、余計に「やって帰っちゃおう」という部分があったように思います。

――クラス担任としてしっかり保育をする時間が8時間、その後に書類作成などで1~2時間の残業、というのが日常的だったんですね。

三橋: そうですね。当時に比べると、フローレンスの病児保育では、大量の書類仕事がドカッと来ることは絶対にありません。
毎日、その日の保育内容や留意点、学んだことなどをしっかり記入すればOKで、その日のうちに自分の仕事が完結するのでスッキリします。個人的には、翌日の準備を含めたとしても、今までより、勤務時間は短いように思います。

勤務時間が日によってまったく違う、というのが訪問型病児保育の特徴ですが、実際に経験してみて、自分の家族も含めて、独特な働き方にも少しずつ慣れていきました。

また、特に子育て中は、行事対応やPTA、旗振り当番など学校関係との両立が大変ですよね。
週4日勤務だと、公休日は基本的には固定ですが、どうしてもという時はシフトを振替できるので、園勤務の頃よりも、学校行事に出られています。PTAの行事にも無理せず出席できていますね。

前職のときも、休みが全く取れないということはなかったんですが、午前中1-2時間子どもの体育祭を見に行って、その後に仕事ということもありました。今はそれがなくて、しっかり休みを取って終日見学に行けるので、有り難いなと思います。

家族全員バドミントンをやっているので、子どもの送迎や試合を見に行ったりもします。私自身も、仕事の後にかけつけて練習に参加したり。そういった時間も作れるので、今は週4日がちょうどいい働き方かなと思いますね。

子育てを通して気が付いた、親御さんの葛藤。

――昔から保育の仕事を志していたのですか?

三橋: 保育の仕事は学生の時のアルバイトが初めてでしたが、学生のときからガールスカウトをやっていて、子どもが好きという気持ちはずっとありましたね。リーダーとして、小さな子どもたちを見るのがすごく楽しかったんです。

以前は担任の先生をフォローする「保育補助」という形で働いていましたが、子どもを授かったときに、子育てってすごく素敵だなと思って、専業主婦になりました。
子どもがある程度大きくなってから、また保育の仕事を始めました。最初は保育補助として入職したんですが、途中で担任を任されて0歳児担任を3年経験しました。とても勉強になりましたし、その時の経験は今も非常に役に立っています。

子どもを育てながら、保育職として保育現場に復帰しようと思った一番の理由は、やっぱり子どもが好きということ。
また、子育てを経験したことで、以前と違う視点を持って復帰できたという点が大きいです。親御さんに寄り添う姿勢というのが子育て経験によって培われたような気がしています。

――そこからフローレンスを知ったきっかけは?

三橋: 37.5℃の涙」というドラマを見て訪問型の病児保育を初めて知りました。それまで、「病児保育」という仕組みは知っていたのですが、実は訪問型という形は知りませんでした。
ドラマの後、Facebookでたまたまフローレンスの説明会情報を見かけて、ちょっと興味があったので参加してみることにしました。

最初は軽い気持ちだったのですが、説明会で話を聞くうちに「あ!これは私がやりたかったことかもしれない」と思ったんです。
自分が保育園でお仕事しているときに、お預かりしているお子さんが病気やお熱で具合が悪くなると、電話をしなければいけない立場で。
保育園にしてみると、下痢が続いたらお熱がなくても休ませてほしいし、「他のお子さんにうつしたら困るから」という理由で言わなければいけない立場ということもわかっていました。
でも、親御さんにも、お仕事に行かなければいけない理由があって、お子さんの具合が悪いのに看ててくれる人がいない。親御さんは自分の仕事をやりくりしてお迎えに来て、次の日も自分の仕事があるのに休まなければいけない。
「私が家にいたら、看ていてあげたいのに」と思っていましたが、この仕事だったら「看てあげられる」と思いました。説明を聞いてその後すぐに面接を申し込みました。

自分が子育てをしてみて、病児保育に対する考え方も変わったのだと思います。
保育園には元気で来るのが当たり前、でも子どもって病気をするのも当たり前、そのギャップがこんなにあるんだということに気がつきました。

我が子にも喘息の発作があったり皮膚疾患があったり、子どもと一緒に色々な病院に行きました。「心配だからそばにいたいけど、他にもやらなけれないけないこともあって…」そういう親御さんの気持ちや葛藤に気が付いたのは大きかったです。
だから、お子さんの体調不良の連絡をしたときに、電話口で「あ、どうしよう」という親御さんの焦る様子がわかると、つらい気持ちにもなりました。
お子さんを看ていてあげたいけれど、保育園も人手が足りなくて、看病に人手が取られてしまうと通常保育にも影響が出てしまいます。
病児保育という仕組みが増えれば、いろいろな所で助かる親子が増えるなと思ったのが、大きいですね。

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失敗を次に活かす。意見を言う。

――入社する時は、多少なりとも不安があったと思うのですが、一番不安だったことは何でしょうか?

三橋: フローレンスに入社する前は、親御さんの手助けもしたい、自分の経験も活かしたいという気持ちが強くてそこまで不安はなかったんです。
入ってみたら病児保育の研修は想像していたより大変、覚えなければいけないことも多く、私に出来るかなと思ってしまいました。
でも、指導してくれる先輩スタッフさんが「どうやったら伝わるかな、私がどうやって見せたらわかるかな」と、研修生の私に分かりやすいように真剣に考えてくれていることが分かり、なんて温かい人達がいっぱいいるんだと感じ、踏ん張れました。
実習中に与薬確認の電話(※)をせずにお子さんに薬をあげてしまいそうになってしまったことがありました。「もう私には無理かも」と思ったのですが、その後指導してくれた先輩スタッフが励ましてくれました。

※親御さんから病児保育中に与薬依頼があった場合、誤薬を防ぐために、フローレンスではお子さんにお薬を飲ませる前に事務局へ電話連絡し、お薬の内容に間違いないか確認した上で与薬しています。

守らなければいけないルールだけでなく、その日の保育計画も立てなければいけません。
最初の頃は、自分が保育しやすいようにではなく、子どもにとって良いように、その子の体調に合わせて保育計画を立てるのが出来ませんでした。そんな時も「大丈夫だよ」と励ましてもらいながら、日々振り返りながら、研修を重ねました。
同期もやる気にあふれていたので、自分も挑戦してみよう、やってみようと思えました。周りに引っ張ってもらって研修を乗り越えられましたね。

――実際にフローレンスに転職されて、入社前と入社後のギャップはありましたか?

三橋: 思った以上に、時間を自由に使えることでしょうか。
フローレンスに入社してからは、自由に使える時間が増えたので、子どもの習い事の役員やお手伝いができるようになりました。
他にも、社風が合うというか、職場環境が良いですね。皆さん優しいし、やる気もあって。
また、病児保育事業部の「全社会議」というものが定期的に開催されるのですが、皆が自分の意見を持って発言している姿を見て感動しました。皆が同じ方向に向かって良い組織にしようとしているのを肌で感じられて、正直すごいなと思いました。パワーがありますよね。

前の職場では、決められたことに従うといった形だったので、とても新鮮で。自分たちの意見を言い合いながら、それぞれの意見は尊重するという姿勢が、すごく素敵なだと感じました。私も、フローレンスでは、怖がらないで意見が言えます。
直行直帰のお仕事なので、たまに寂しいなと感じるときはありますが、相談したいことがあれば事務局に電話をかけられます。話を聞いてもらえること、組長さん(保育リーダー)が、声をかけてくれることが安心感につながっていますね。

ミスをしてしまうこともあります。でも、「次はどうしたらいいのか」を考えられるようになったのは、フローレンスに入ったおかげかなと思っています。
ミスを責められるのではなくて、次につなげようという空気が非常に強いので、そこに乗っかって、どうすれば自分がより良くなるかを考えるようになりましたし、新しいチャレンジにも前向きに取り組むようになりました。
仕事だけではなく、プライベートや子どものことも考え方が変わってきましたね。この年になっても、ちょっとずつ積み重ねることで、できるようになったり分かってきたりすることがあって、嬉しいなと思います。

先輩たちが積み重ねてきた病児保育の重み。

――入社してからの思い出深い病児保育を教えてください。

三橋: 年齢の高い、活気があるお子さんの保育です。
工夫して1日過ごしたところ、帰ってきた親御さんがとても喜んでくださいました。その中で「昔からフローレンスを利用しているのですが、今日はひさしぶりに利用したんです」という話を聞いた時に、なんかちょっとグッときたんですね。
今までずっと先輩が大事に積み重ねてきた上に、自分の今日の病児保育があると思った時に、なんだか泣きそうになっちゃって。なんでこんなにグッときたんだろう。未だにじんわり残っている感じなんです!
今までフローレンスの先輩が積み重ねてきたものの上で、自分もまたお仕事をしているんだということに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

朝は人見知りが強くて泣いているお子さんが、帰りには玄関まで来てバイバイしてくれたり、遊んでいる手を止めて玄関まで見送りに来てくれた時、「あぁよかった。明日元気になるといいな」と思います。
「お大事にしてくださいね」と言いながら、会員さんのご自宅を出る時が一番やりがいを感じるというか、今日も良かったなぁと思える瞬間ですね。
こうやって、先輩たちが1件1件重ねた病児保育を見たり聞いたり感じたりしながら、お子さんと親御さんにしっかり向き合って、お子さんが安心して病気にも打ち勝つようにと願いをこめつつ、日々お預かりに向かっています。

――これからどんな病児保育をしていきたいですか?

三橋: まずは親御さんが安心して仕事に出られるように、毎日丁寧な病児保育を実践したいなと思います。

病気と戦っているお子さんの頑張りを応援したいですし、お子さんの心配をしながらお仕事をしている親御さんも応援したい。少しでもお手伝いできるように、これからも安心して任せてもらえるような保育を続けていきたいです。
私自身は、ミスをすることもありますが、「次どうしたらいいかな」と組長さん(保育リーダー)とも話しながら、一つの失敗を、次はもうやらないぞという気持ちでやっています。

また、新人スタッフさんには、私が先輩に教わったように、わかりやすく指導したいと思っています。
私も先輩にとても励ましてもらったので、何かあったとしても「次はどうしたらいいか」を自分で考えられるようにお手伝いしたいですね。
自分で発見して自分で考えられる、それが後々役に立っていくので、そうやって考えられるように、寄り添いたいと思っています。

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――子育てを機に一旦保育から離れたけれど、子どもも大きくなってきてそろそろ保育の仕事に戻りたいと思っている方も多いと思います。そういう方へのおすすめポイントはどんなところでしょうか。

三橋: この仕事に向いているのは、目の前のお子さんにじっくり寄り添いたいと思っている人ですね。
集団保育ですと、一度にたくさんの子どもたちを見なければいけないのですが、フローレンスの病児保育は一人ひとりの状態に合わせて丁寧に見ることができます。1対1保育はいいよ!とおすすめしたいですね。
子育て未経験の保育士さんでも、事務局のサポートがしっかりしているから安心して仕事ができますし、子育て経験がある方には、自分の子育て経験が役に立つのでぜひ仲間になってほしいです。
おやこレスキュー隊員が増えると、助かる親御さんが増えます。一人でも多くの仲間が増えるといいなと思います!

子どもが好きで、知らない場所、いろいろな所に行くのが好きな人にはぜひチャレンジしてほしいです。自分の子どもだけじゃなくて、隣の子どももみんなの子ども。みんなが「みんなで子育てしあおうよ」っていう気持ちになれたらいいなと思います。


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子育て経験や保育経験を活かして病児保育のお仕事にチャレンジしてみたい方、ぜひお気軽に説明会にお越しください。平日が難しい方向けに休日の日程もご用意していますし、日程が合わない方には個別で対応します。
スタッフ一同、皆さんにお会いできるのを楽しみにお待ちしています。