「子どもが体調を崩したときに、預ける先がない」

働きながら子育てをする生活様式のなかで、多くの親御さんが日々この大きな壁にぶつかっています。核家族が主流の現代、誰しもが頼れる祖父母や親族の傍で生活できているわけではありません。そんななかで仕事と育児を両立するためには、「病児保育」というサービスが必要不可欠です。

フローレンスでは、病気のお子さんをお預かりする病児保育サービスを展開しています。病児保育の仕事内容、やりがいについてなど、看護師として働く島内さんに、詳しくお話を伺いました。

病児保育の保育現場を支える看護スタッフとして活躍中の島内さん。

フローレンスの病児保育における看護スタッフの1日

-フローレンスの病児保育における、看護スタッフの仕事内容を教えてください。

お子さんの既往歴の確認
病児保育は月曜日から金曜日まで、病気のお子さんのお預かりに対応しています。お子さんの既往歴を確認した上で、看護のケアポイントを病児保育の保育スタッフに必要に応じてお伝えするのが、朝の最初の仕事です。

②会員さん、入会希望者への問診に対する返信と既往歴の記録
入会希望の方や既存の会員さんへの問診に対する返信を行います。また、専用サイトにお子さんの既往を詳細に記載していきます。

③病児保育の保育スタッフ、サポートセンターへの返信
保育スタッフから病児保育での詳しい内容を聞き、それに対する返信を行います。その他、サポートセンターからの電話を受けて、お預かりしているお子さんへのケア方法などに対して返答します。

④自身のプロジェクト業務、病児保育の看護業務
既往歴のチェックや問診が終わったら、午後は自分が携わっているプロジェクトの仕事を進めていきます。その他、病児保育室での保育、看護業務も行います。病児保育室は現在、豊洲と駒込の二か所を担当しています。

⑤各家庭への訪問看護業務
各家庭への訪問看護業務を行います。重い喘息をお持ちのお子さんや、障がいをお持ちのお子さんなどに対する訪問看護を行っています。こちらは依頼があったときのみの対応になりますが、一時間半から二時間前後滞在し、お子さんの体調をチェックして、保育スタッフとその日のお子さんの様子に関して心配な点などを話し合います。
(※コロナ禍において、現在はお子さんのお預かりがとても少ないという状況にあります。)

病児保育という仕事を通して感じたこと、やりがい、大切にしているポイントについて

-お仕事をする上で大変さを感じる場面、やりがいを感じる瞬間をそれぞれ教えてください。

病児保育では小児全般、一般的な風邪や感染症の他、手術前後のお子さん、怪我したあとのお子さん、他の疾患や障害をお持ちのお子さんと多岐にわたり対応していくことになります。
大人なら自分で気持ちや痛みを訴えることもできますが、小さなお子さんはそれができず、お子さん自身の様子を観察したり、親御さんが代弁者となるため、親御さんとの関係を築いていくことも大切になってきます。そこが成人の看護とは大きく異なるので、そのあたりの知識を習得するのが最初は少し大変でした。

また、訪問看護の際に診た経験のない病気のお子さんである場合、自分で勉強したり親御さんに問診を通して詳しくお話を聞いたりするのですが、はじめの頃は不安がありました。でも、現場のOJT(実務研修)がありますので、いきなり一人でお子さんの看護に対応しなければならないということはありません。何度か同じお子さんの看護をするなかで対応方法がわかってくるので、そういった不安は解消されました。

私は子どもの保育が好きなんだな、という想いがあって、保育の時間がやっぱり楽しいです!人と話すことが好きなので、今日はどうやって保育していこうかと、親御さんの希望を受け、保育スタッフと相談しながら取り組めるというのが病児保育室ならではのやりがいだと思っています。

-親御さんとも、密にコミュニケーションを取っておられるのですね。

そうですね。朝の引継ぎの際に、親御さんに連絡するタイミング、病院に連れて行くタイミングなどを確認します。朝と帰りの引継ぎでコミュニケーションが取れるので、そこで親御さんが困っていることを把握し、それに応えていけることにもやりがいを感じています。
朝は親御さんがお仕事で急いでいるので、帰りの引継ぎの際にその日の夜や翌日のためにできること、救急に連れて行くタイミングなどをお話すると、親御さんも安心してお子さんを連れて帰れるのではないかと思います。なので、帰りの引継ぎはわりと重要なポイントですね。

-お子さんとのコミュニケーションのなかで工夫されていることはありますか?

病児保育室は一歳台の小さなお子さんが多いのですが、必ず自己紹介をするようにしています。今はマスクで顔が見えないので、初めてのお子さんは尚のこと緊張していると思うんですね。でも、「島内と言います。今日は一日よろしくね!」とお話すると、聞いてくれている感じがあります。

親御さんやお子さん、保育スタッフの方々と丁寧にコミュニケーションを取っておられる様子が伝わってきます。人は「分からない」ことが積み重なると不安になってしまうもの。しかし相互に必要なことをしっかり話し合うなかで、不安は払拭され、信頼や安心が育まれていくのだと感じました。

目線の違い、聴く姿勢、そこから生まれる新しい風

-看護スタッフと保育スタッフでの目線の違いはありますか?

あります。例えば、清潔と不潔のラインですね。以前、若い看護師さんが声を上げてくれて、不潔区域から清潔区域に物を運ぶことのないよう、改めて動線を確認できたことがありました。保育スタッフのなかに看護師資格を持っている方が何人かいらっしゃって、その方からの発信だったんですね。なので、「新しい風が入ってきていいな」と思いました。

嘔吐時や排泄時の処理の仕方なども、看護師目線で「こういうふうにやっていきましょう」と発信すると、保育スタッフ側もしっかりと応えてくれます。こちらが提示したものに対して質問を受け、それにお答えしてお互いに納得したものをマニュアルとして作成します。話をしっかり聴いてくれるし、質問もしてくれる。だからこそ私たちもそれに応えたいと思うのです。

臆せず意見を出し合い、すんなり受けとめて新しい形をつくっていく。そんな柔軟な心持ちであるからこそ、温かい看護、保育を提供できるのでしょう。その他にも互いが働きやすいよう、支え合いの意識を大切に過ごされている様子を伺い知ることができました。

チームで取り組んでいること、今後の展望について

-現在取り組んでいることや、今後こうしていきたいという目標はありますか?

看護師チームで研修をeラーニング化(インターネットを利用した学習形態)したんですね。それがすごく良かったなと。コロナ禍において、とても役に立ちました。それと、この一年で同じく看護師チームで看護師のポータルサイトを作ったんですね。既往歴はここ、保育スタッフからのフィードバックはここ、というようにばらばらだった情報をまとめたのがすごく大きかったです。

-❝こうだったらいいな❞を、この一年で形にされてきたのですね!

はい。ただ、対面でしかできない研修というものもあって。例えば痙攣研修というものでは、保育スタッフ役、子ども役、救急隊員役の三人一組で、保育スタッフにロールプレイをやってもらっていました。しかし、コロナ禍で出来なくなってしまったので、今後はそういった研修を月に一度か二ヵ月に一度できるようにして、保育スタッフとも直接話をする機会が増えていくといいなと思っています。研修がどれもeラーニング化されているのはすごく良いことなのですが、やはり対面のほうが良いという意見もありますので。目の前で痙攣している子どもがいたらどうやって動くのか。それを実際、役になりきってやってみるというのは大事かなと思います。

困ったことがあっても、一緒に相談しながら働いていけるのが最大の魅力

-チームワーク、働く環境についてお話を聞かせてください。

小さいお子さんをお持ちの看護師さんには、お子さんの体調が悪くなったら、「帰っていいよ」と声を掛け合います。こういうのはお互い様なので。休む理由はみなさん、人それぞれです。自分の体調不良だったり、お子さんの体調不良だったり、ご家庭の都合だったりと色々なんですけど、それを押して働いても、結局気になって仕事が進まないんじゃないかと個人的には思います。なので、気になっていることがあったら半日休むとか、場合によっては一日休んでもらって、次の日元気に働けたほうが効率もいいんじゃないかなと私は思っています。

また、フローレンスで働くスタッフは、人の話を聴いてくれて、人の考えを尊重してくれる、そういう方が多いんじゃないかと思います。あと、その人の良いところを認めてくれる方たちがとっても多い印象があります。

若手からベテランまで、みんなやさしい雰囲気で働きやすいとお話してくれた島内さん。そんな島内さんご自身も、とても穏やな空気を纏っていました。質問一つ一つに丁寧に答えてくださり、お子さんのお話になるとふっと緩む目元がとても印象的でした。
また、ご主人の出張も多く、ご両親の援助もなかなか得られない状況での子育てだったというご自身の経験のなかで、病児保育があったらいいなと思うタイミングは何度もあったそうです。
例えお子さんが小さくとも、誰しもが望むタイミングで働ける。そんな社会をつくる上で、やはりフローレンスの病児保育は無くてはならないものであると改めて思いました。

-最後に島内さんより、求職者の方へメッセージをお願いいたします。

人とお話をするのが好きな人は、向いていると思います。困ったことがあっても、一緒に相談しながら働いていけるというのが最大の魅力です。現場に一人でぽんと行かせるということは絶対にしませんので、安心してください。どんな仕事でも、話し合いながらみんなでつくり上げていくものだと思っています。
お子さんと親御さんが安心できるような病児保育をチームで支えていきたい。そんな想いを持った方と一緒に働けることを、心より願っております。


現在、フローレンスの病児保育では看護スタッフを募集しています。
看護師としての強みや経験を活かしながら、保育と看護の視点で病児保育の現場を支え、親子の笑顔を妨げる社会問題を私たちと一緒に解決しませんか?

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碧月はる

ライター、エッセイスト。書くことは呼吸をすること。メディアにエッセイ、映画コラムを寄稿しています。その他、noteにてエッセイ、小説を執筆中。note内私設コンテスト「Muse杯」Muse賞(グランプリ)受賞。海と珈琲と二人の息子を愛しています。