ご自宅での病児保育を提供しているフローレンスが、子どもの感染症とその期間の保育に関する情報をお伝えする「教えて!こどもレスキュー隊員」。

第4回目となる今回は、『RSウイルス感染症』についてお届けします!

1歳未満の乳児が感染すると重症化することもあるため、乳児がいる家庭では特に感染に気を付けなければならない『RSウイルス感染症』。まずは、どんな症状があるのか、どうやって感染するのかなどのRSウイルス感染症の基礎知識について解説します。

RSウイルス感染症の基礎知識

RSウイルス感染症は、体内にRSウイルスというウイルスが入り込むことで起こる感染症です。1歳までに50~70%以上が感染し、3歳までにはほぼすべての子どもが少なくとも 一度は感染すると言われています。

感染から発症までの潜伏期間は4~6日ほど。ウイルス排泄期間は7~21日と長いため、感染が広がりやすいという特徴があります。
主な症状は、乾いた咳や発熱、鼻水などの風邪に似た症状。熱は乳児の場合は38℃台が多く、39℃以上の高熱はあまり見られません。

多くは軽症ですみますが、初めて感染・発症した場合は重くなりやすく、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)にRSウイルスに初感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こし、入院が必要になることもあります

生後1ヶ月未満児の場合は診断が困難なうえ、突然死に繋がる無呼吸発作を招く可能性もあります。
RSウイルス感染症の感染経路は、飛沫感染、接触感染が主となっています。麻疹や水痘、結核のような空気感染はありません。ワクチンがなく、治療も対症療法となるため、マスクの着用や手洗い・うがいの徹底が重要です。

厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)」によると、罹患した子どもの登園の目安は、「呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと」
RSウイルス感染症にかかった後に登園許可証が必要かどうかは、保育園によって対応が異なります。登園する前に保育園に確認しておきましょう。

RSウイルス感染症は例年冬期に流行し、夏期にはあまり流行しないのが特徴でした。しかし、近年は7月頃から患者数の増加が見られるようになっています
東京都感染症情報センターによると、2015年~2019年のRSウイルス感染症の「定点医療期間当たりの患者報告数」の推移は以下のグラフの通りです。

定点医療機関当たり患者報告数(東京都感染症情報センター2019.9.27現在)

例年29週目あたり(7月中旬ごろ)から患者数が増加し始め、44週目あたり(11月上旬ごろ)までと長い期間流行が続きます
東京都ではこの秋もRSウイルス感染症の流行が見られます。ぜひRSウイルス感染症のケアポイントと、感染防止のための対策について学んでおきましょう。

RSウイルス感染症のケアはどうしたらいい?

実際に子どもがRSウイルス感染症に感染したときには、どのようなケアをすればよいのでしょうか?

各ご家庭で病児保育を行う「こどもレスキュー隊員」の久保田に聞いてみました!

 

こどもレスキュー隊員:久保田祥子 自身の子供が1歳の頃より、自宅でお子さんを預かるファミリーサポートを開始。
その後、並行して保育園の保育補助の仕事を8年間経験したのち、2015年にフローレンスに入社し、以後5年近く病児保育の仕事を担当。
症状の重いお子さんのお預かりや新人指導もできるベテラン隊員。

食事について

――RSウイルス感染症のお子さんには、どのような食事を与えたらいいのでしょうか?

久保田:食欲があれば普段通りの食事でかまいません。それぞれのお子さんが食べやすいものを食べさせましょう。

ただし、喉の痛みがあるとき、熱が高いときは食欲がないので、うどんやおかゆなどの柔らかいものがおすすめです。それでも食べてくれない場合は、プリン、ゼリー、ヨーグルトなど、食べやすくお子さんが喜びそうなものを与えてください。

水分補給について

――水分補給についても教えてください。

久保田:お茶や水を与えることが多いです。熱がある時や咳き込んで嘔吐する時などは、脱水を防ぐためにOS-1(経口補水液)を飲ませることもあります。
RSウイルス感染症の場合は咳が出ることが多いので、「咳が出るごとに一口」のようにこまめに与えています。1日のお預かりで、だいたい500ml以上は飲んでもらうようにしています。

水分を摂りたがらないお子さんには、好きな味のジュースや牛乳などを与えることもあります。病児保育に預けるときには、お茶や水のほかに、お子さんが好きな飲み物を用意していただけると助かります。

病児保育のときに気をつけていること

――保育の時は、他にはどんなことに気を付けていますか?

久保田:RSウイルス感染症では急に呼吸状態が悪化することがあるので、咳や呼吸状態の様子には特に気を付けています。
特に「ケンケン」といった犬やオットセイが鳴くような咳は、呼吸困難を引き起こすことがあるため見落とさないようにしています。

あとは呼吸音がヒューヒュー、ゼェゼェして苦しそうにしていないか、顔色、唇、手足の爪の色が悪くなっていないか、喉元や肋骨のあたりが窪んでいないかもよくチェックします。
そのような症状が見られた場合は事務局と相談し、こどもレスキュー隊員による代行受診をご提案することもあります。こうした症状は小さいお子さんの方が起こりやすいですが、大きなお子さんでも起こることがあるため、大きいお子さんだからといって油断はできません。
熱が高くなった場合は保冷剤で「クーリング」をおこなっています。わきの下や頸動脈、脚の付け根など、大動脈が通っているところを冷やしています。

病児保育を利用する際に準備するもの

――RSウイルス感染症のお子さんを預けるときは、親御さんはどんなものを用意したらいいでしょうか?

久保田:食べ物や飲み物は、お子さんが好きなもの、食べやすいものを中心に、いろんな種類のものをご用意いただけると助かります。
咳が出る場合は、もしご自宅に加湿器があれば、加湿器をセットしていただけるとありがたいですね。加湿器がない場合も、濡れタオルを何本かお部屋に干すと室内の乾燥を防ぐことができます

あとは、熱が上がったときのクーリング用に保冷剤もぜひご用意ください。

感染を拡大させないためにできること

――RSウイルス感染症は乳児に感染すると重症化することもある病気だと聞きます。大人やきょうだいから感染しないためには、どんなことに気を付けたらいいですか?

久保田:RSウイルス感染症は飛沫感染、接触感染によって広がるため、まずは大人やきょうだいが手洗い、うがいを徹底し、ウイルスを家に持ち込まないようにしましょう。すでに感染していて咳が出る場合は、マスクの着用も必須です。
あとは加湿器や濡れタオルを使い、部屋の湿度を上げて空気が乾燥しないようにすることも大切です。
そのほかには、日常的に手に触れるおもちゃやドアノブ、手すりなどはこまめにアルコール消毒をするようにしましょう。

――なるほど。どうもありがとうございました!

 

病児保育には預けられる?

RSウイルス感染症のお子さんの預かりが可能かどうかは、病児保育施設によって異なります。詳しくは各病児保育施設の情報をご確認ください。

フローレンスでは、ご自宅に訪問する訪問型病児保育のほか、病児保育室フローレンス初台、病児保育室フローレンス豊洲にてRSウイルス感染症のお子さんをお預かりすることができます。
フローレンスの病児保育では、こどもレスキュー隊員がこのような記録をつけており、一日の保育終了後に親御さんにお渡ししています。お預かりの間の様子が詳しくわかるので、安心して預けられると好評です♪

フローレンスは、子育てと仕事の両立を全力でサポートします!お子さんが病気の時は、ぜひ病児保育のプロであるフローレンスを頼ってくださいね。

 

フローレンスでは病児保育の入会を随時受付中!

ぜひご入会をご検討ください。

病児保育室は各施設ごとに利用条件、事前の登録が必要です。
詳しくは下記サイトからご確認ください。

 

※本記事は日本病児保育協会の「風邪かな?と思ったら要注意!乳児に感染させてはいけない「RSウイルス感染症」」(ナビタスクリニック 久住英二先生監修)を参考にしております。


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