ご自宅での病児保育を提供しているフローレンスが、こどもの感染症やかかったときのご自宅での過ごし方に関する情報をお伝えする『教えて!こどもレスキュー隊員』

今回は、『ヒトメタニューモウイルス感染症』についてお届けします!

『ヒトメタニューモウイルス感染症』を聞いたことがない!という方も多いかもしれませんが、RSウイルスと同様に気管支炎や肺炎などを引き起こすこともあり注意が必要な感染症です。

まずは、ヒトメタニューモウイルス感染症の症状や感染経路などの基礎知識について解説します。

ヒトメタニューモウイルス感染症の基礎知識

ヒトメタニューモウイルスは、2001年に発見されたウイルスで、3-6月の春に多いとされている感染症ですが、通年みられます

感染から発症までの潜伏期間は多くは3~5日ほどで、ウイルス排泄期間は通常は1~2週間程度と言われています。

全ての年齢で生じうるが、5 歳までに少なくても 1 回は感染すると言われ、軽い咳や38-39℃台の発熱、鼻水などの風邪に似た症状が数日続きます。幼児で感染が流行することが多いですが、大人にも感染します。

呼吸器症状がでやすい感染症のため、咳以外にもゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がする喘鳴(ぜんめい)がみられることがあります。

特に乳児で感染した場合は、呼吸困難で鼻やくちびるなどが青黒くなるチアノーゼなどの重篤な症状も出現する可能性のある細気管支炎、肺炎を症状を引き起こし、入院が必要になることもあります。

ヒトメタニューモウイルス感染症の感染経路は、飛沫感染、接触感染が主となっています。麻疹や水痘、結核のような空気感染はありません。特効薬やワクチンはなく、治療は症状を緩和する対症療法となるため、マスクの着用や手洗い・うがいの徹底が重要です。

(参考:「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」

週別診断名別Human metapneumovirus分離・検出報告数、2021&2022年
(病原微生物検出情報: 2022年11月14日 作成)
※青:上気道炎 緑:下気道炎 ピンク:その他不明 黄色:不明熱 

国立感染症研究所の病原微生物検出情報によると、昨年は検出報告が年間を通して数件でしたが、今年は27週目あたり(7月初旬ごろ)から増加し、41週目(10月中旬)あたりまで昨年よりも件数報告が多くなっています

日本小児科学会の「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」では、「咳などが安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能」としており、ヒトメタニューモウイルス感染症にかかった後に登園許可証が必要かどうかは、保育園によって対応が異なります。登園する前に保育園に確認しておきましょう。

ヒトメタニューモウイルス感染症は、RSウイルス感染症やインフルエンザとは異なり、感染症の届け出の対象ではありません。そのため、流行が把握しにくいと言われています。

お子さんやご自身、ご家族が罹患したときに備えて、ぜひヒトメタニューモウイルス感染症のケアポイントについて学んでおきましょう。

ヒトメタニューモウイルス感染症のケアはどうしたらいい?

実際に子どもがヒトメタニューモウイルス感染症に感染したときには、どのようなケアをすればよいのでしょうか?

各ご家庭で病児保育を行う「こどもレスキュー隊員」の露木に聞いてみました!

こどもレスキュー隊員兼事務局スタッフ:露木 
ボランティアの経験をきっかけに保育士となり、13年間保育園で勤務。未就学のお子さんだけでなく、もっと幅広い年齢のお子さんと触れ合い成長や発達を専門的に知りたいと考え、2018年にフローレンスに入社。レスキュー隊員として保育に従事しながら、2022年より事務局スタッフとして保育中の隊員のサポートなどの仕事もしています。

食事について

――ヒトメタニューモウイルス感染症のお子さんには、どのような食事を与えたらいいのでしょうか?

露木:お子さんによってはいつも通り食べられる子もいれば、食欲がないお子さんもいます。

なので、朝の引き継ぎの際に食欲があるかを確認しています。そこで、食欲があまりないようであれば、うどんやおかゆといった消化の良い食べ物やバナナなどあるとお子さんも食べやすく、栄養も取れると良いと思います。

ただ、お子さんによってはこれらの食べ物が苦手なお子さんもいるので、お子さんが好きなもの、親御さんがこれなら食べるだろうと思うものを数種類ご用意いただくと良いと思います。特に麺類が好きなお子さんは多くて、食欲がなくても口にしてくれることは多いなと思います。

――体調が悪いと食事がすすまないこともありますよね。そのようなときはどうしていますか?

露木:例えば、おにぎりを食べないお子さんであれば、ラップで小さなおにぎりにしてみたり、好きなお人形を近くに置いて食べさせる真似をして、「もぐもぐ食べたね!」と楽しい雰囲気にしてみるなどと気持ちを切り替える工夫をすることはよくあります。

もちろん工夫をしても食べられない時はあるので、無理せずその時のお子さんの適量を見極めて保育をしています。

水分補給について

――水分補給についても教えてください。

露木:麦茶や白湯などを用意される方が多いです。また、体調がすぐれないと普段飲んでいるものでも進まない時があるので、食事と同様にお子さんの好きな飲み物も含めて複数あるとよいと思います。

――食事同様に、水分が進まないこともあるかと思います。そのようなときはどのようにしていますか?

露木:年齢の小さなお子さんであれば、乾杯をして自分が美味しそうに飲む(私自身は持参した飲み物を飲む)ことで、お子さんが真似をして自分の飲み物を飲んでくれることはよくありますね。

年齢の大きいお子さんには、コップに描かれているキャラクターのここまで飲んでみようか、など目安を示すと飲んでくれることもありますね。

病児保育のときに気をつけていること

――保育の時は、他にはどんなことに気を付けていますか?

露木朝までの様子の聞き取りを大事にしています。特に、親御さんがお子さんのどんな症状が気になっているかを確認し、そこから保育中に変化がないか気をつけてみています。

熱は定期的に測るのはもちろんですが、乾いた咳や痰がらみの咳といった咳、陥没呼吸の有無といった呼吸の仕方、年齢にあった呼吸数なのか、水分量は必要量とれているかなど研修で習ったことを念頭において保育をしていますね。

症状が悪化したり、悪化はなくてもこれまでの症状経過が長かったりした場合は、事務局とも相談をしながら安全にお子さんをお預かりできるようにしています。

――熱の経過や咳などの呼吸状態に注意しながら、過ごすとよいのですね。実際にお子さんとはどのようなことをして過ごすのでしょうか?

露木:同じヒトメタニューモウイルス感染症でも、熱が高かったり咳が多くて夜眠れなかったお子さんもいれば、治りかけで明日から保育園予定というお子さんもいます。

熱が高かったり、昨夜眠れなかったなどのお子さんであれば、休息できる時間が多くなるように環境を整えるようにしています。例えば、抱っこが落ち着くお子さんは抱っこで過ごしてみたり、あまり眠れなかったお子さんは普段午前中に寝ていなくても眠そうにしていたら部屋を暗くしたり、絵本を読んだりしてゆっくり過ごせるようにします。

もし、咳が出ていて寝れていないお子さんであれば、ふとんやクッションを利用して少し背中を高くしてみたり、熱のあるお子さんであれば、必要時クーリングをしたり、手でそよそよ仰ぐだけでもウトウトすることもありますね。

逆に治りかけのお子さんの場合は、興奮しすぎないように注意をしながら、お子さんの遊びたい気持ちをなるべく制限しないようにして、保育園や学校のリズムも意識しながら保育をしています。もし、興奮しそうなぐらい動きたい気持ちがでているときは、考える遊びに気持ちが変わるようにすることもあります。

例えば、絵しりとりやシール遊びなどでしょうか。あと、お子さんの手のひらサイズに折り紙で絵本を作ったりしたこともします。●●ちゃんの絵本と書いてシールを貼ったり、すきなキャラクターを描いてあげたりします。めくる楽しみもそうですが、お子さんの手のひらサイズにすることで、お子さんが喜んで遊んでくれることが多いです。

年齢の大きいお子さんであれば、一緒にすごろくや折り紙をつくったり、クイズを出し合ったりもします。

――お子さんも喜びそうな遊びですね。もし、お子さんの遊びたい気持ちと休む時間の切り替えがなかなかうまくいかないときはどうしていますか。

露木:そうですね。なるべく食事のあとはゆっくりできるように、食事の前には遊んでいたものを片付けて、布団などを引いてからご飯にするようにしています。そうすると、お子さんの目にも入り、次はお昼寝なんだなと自然と身体を休めるリズムになることが多いです。もちろん、治りかけのお子さんや年齢が大きくてお昼寝をしないお子さんには、さきほど話したすごろく作りをしたり、クイズ遊びをしたり動のあそびと静のあそび※を交えて気分を切り替えられるように工夫をしています。

※動の遊び:ごっこ遊びなど体を動かす遊びのこと。静の遊び:お絵かきや絵本の読み聞かせなど、落ち着いた遊びのこと。

病児保育を利用する際に準備するもの

――ヒトメタニューモウイルス感染症のお子さんを預けるときは、親御さんはどんなものを用意したらいいでしょうか?

露木:体調が悪いときは、普段飲食できるものでも摂れなくなったりするので、食事や水分は数種類ご用意をいただくと、その日のお子さんの体調や好みに合わせてお勧めできるのでお子さんにとって良いと思います。

あとは、熱がある場合もそうですが、引き継ぎ時には熱がなくても午後にかけて熱が急に出ることもあるので、クーリングをして心地よく過ごせる様に保冷剤やタオルを多めに預かれるとありがたいです。

用意ではないですが、症状変化に合わせて受診もできるように、朝の引き継ぎ時に当日にかかることができる病院の確認を必ずさせてもらっていますね。

感染を拡大させないためにできること

――ヒトメタニューモウイルス感染症は乳児に感染すると重症化することもある病気だと聞きます。大人やきょうだいから感染しないためには、どんなことに気を付けたらいいですか?

露木:ヒトメタニューモウイルス感染症はどこで感染するかわからないため、まずは大人やきょうだいが手洗い、うがいをすることが大事だと思います。

私自身も保育中もフローレンスの感染症予防策を守って、手洗いなどに気をつけています。

――お子さんが罹患したとき、どのように過ごすとよいのか学びになりました。どうもありがとうございました!

病児保育には預けられる?

フローレンスでは、一対一の訪問型病児保育のため、ヒトメタニューモウイルス感染症のお子さんもお預かり可能です。

実際にフローレンスの病児保育ではこのように記録をし、一日の保育終了後に親御さんにお渡ししています。お預かりの間の様子が詳しくわかるので、安心して預けられると好評です♪

フローレンスの病児保育は、2004年のサービス開始以降、保育業界最多の累計保育件数100,000件の実績で培った経験と、研修体制をもとに、安心安全の病児保育を提供しています。

元気なときには保育園へ預けるのと同様に、病気のときには病児保育のプロを頼ってくださいね。

尚、訪問型病児保育と異なり、病児保育室は各施設ごとに利用条件、事前の登録が必要です。病児保育室の場合は、感染力の高い病気のお子さんをお預かりするための「隔離室」を利用することが多く、そうした部屋を設置しているかどうかや、空き状況によって預かりの可否が分かれます。

フローレンスでも病児保育室フローレンス初台、病児保育室フローレンス豊洲を運営しております。

空き状況にもよりますが、これらの病児保育室にてヒトメタニューモウイルス感染症のお子さんをお預かりすることができます。病児保育室は各施設ごとに利用条件が異なり、事前の登録が必要です。詳しくは下記サイトからご確認ください。


いかがでしたでしょうか。

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