利用者さんのご自宅で病児保育を行うフローレンスが、子どもの感染症と感染期間中の保育に関する情報をお伝えする「教えて!おやこレスキュー隊員」。

今回は、『インフルエンザ』について最新情報をお届けします!

インフルエンザは、皆さんご存じの通り冬に爆発的な流行を見せていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行もあり、ここ数年爆発的な流行は見られておりませんでした。

しかし、昨年から今年にかけては、散発的にインフルエンザが発生しており、東京都では、2023年9月21日、定点当たりの報告数が基準値を超えたため、「流行注意報」が出されました。その後も急速に増加しており、今後さらに流行が拡大する可能性もあるため、十分な注意が必要です。

インフルエンザは、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感などの症状をもつ病気です。肺炎や脳炎、熱性けいれんなどの合併症を併発することもありますが、症状だけでは普通の風邪と見分けるのが難しいのも特徴です。

まずは症状や感染経路、流行の時期など、インフルエンザの基礎知識について解説します。

目次

1.インフルエンザの基礎知識
1-1.感染経路は?
1-2.潜伏期間は?
1-3.登園・登校基準は?
1-4.流行状況は?
2.インフルエンザのケアはどうしたらいい?
2-1.食事について
2-2.水分補給について
2-3.気をつけるポイントについて
2-4.解熱剤の使用について
2-5.病児保育を利用する際の準備について
2-6.病児保育を利用する際の準備について
3.病児保育には預けられる?
4.インフルエンザのケアポイントまとめ

1.インフルエンザの基礎知識

インフルエンザの原因となるウイルスにはさまざまな種類がありますが、おもにA型とB型に分けられます。 

インフルエンザの症状は、発熱のほか、頭痛や筋肉痛、関節痛、全身倦怠感、のどの痛み、鼻水、咳など。食欲不振、嘔吐、腹痛、下痢などを伴うこともあります。

さらに合併症として、肺炎、脳炎、中耳炎、熱性けいれん、インフルエンザ脳症を併発する可能性も。ただし、インフルエンザは症状だけでは普通の風邪と見分けがつきにくいうえ、発症早期にはウイルス量が少なく、インフルエンザと診断することができないこともあります。 

重症化を防ぐため、周囲への感染を防ぐためには、風邪のような体調不良が見られたら登園・登校させず、自宅などでしっかり休養させることが大切です。

1-1. 感染経路は?

インフルエンザは、くしゃみや咳などによる飛沫感染唾液等がついた手指による接触感染によって感染します。ただし、インフルエンザウイルスは体外に排出されたら数時間で死滅するため、排出後長期間にわたって感染力を保つことはありません。

1-2. 潜伏期間は?

感染から発症までの潜伏期間は1~4日で、平均2日ほどとされています。他者への感染力は発熱1日前から3日目がピークで、7日目ごろまで続きます。小さな子どもの場合は、さらに長引くこともあります。

1-3. 登園・登校基準は?

インフルエンザの登園禁止期間は、学校保健安全法により「発熱した日を発症0日目として発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(乳幼児では3日)を経過するまで」と定められています。(参考:「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)2023年5月一部改訂」

インフルエンザから回復して登園を再開する際には、保育園によっては医師が記入した「意見書」の提出が求められる場合もあります。園によって扱いが異なるため、登園前に確認しておきましょう。

1-4. 流行状況は?

東京都感染症情報センターによると、2019年~2023年のインフルエンザの「定点医療期間当たりの患者報告数」の推移は以下のグラフのようになっています。

定点医療機関当たり患者報告数(東京都感染症情報センター

新型コロナウイルス感染症が流行してからはインフルエンザの流行はなく経過していましたが、22年の冬からは新型コロナウイルス感染症流行前のように、第47週ごろ(11月下旬ごろ)から増加していました。今年は、東京都では、第37週(9月11日から9月17日)におけるインフルエンザの定点当たり報告数が11.37と、「流行注意報基準」である定点当たり10.0人を超えたため、「流行注意報」が出されました。 

その後も急速に増加しており、今後、さらに流行が拡大する可能性もあるため、十分な注意が必要です。

罹患した場合に備えて、インフルエンザに感染したときのケアポイントを知っておきましょう。

2.インフルエンザのケアはどうしたらいい?

子どもがインフルエンザに感染してしまったときは、どのようなケアをすればよいのでしょうか?

各ご家庭で病児保育を行う「おやこレスキュー隊員」の赤江に聞いてみました!

おやこレスキュー隊員:赤江 亜純
保育士として5年間実務を経験したのち、2016年にフローレンスに入社。ベテランのおやこレスキュー隊員として、新人指導や保育に配慮が必要なお子さんのお預かりも担当する。
 

2-1. 食事について

――インフルエンザになったお子さんには、どのような食事を与えたらいいでしょうか?

赤江:高熱のときは食欲が落ちるので、喉越しのいいもの、食べやすいものを与えましょう。

おかゆやうどんがおすすめですが、食べたがらないときは、お子さんの好きなゼリーやプリン、アイスクリームなどもいいと思います。

脱水も気になるので、できるだけ水分が多めのものを与えてください。

高熱が出ているときは胃腸の機能が低下しているので、脂っこいものや消化の悪いものは避けましょう。

熱が下がり、回復してきたときにはお子さんが好きなものを食べさせてあげてください。

病児保育を利用されるときは、食事は数種類ご用意いただけると助かります。

代替案がたくさんあれば、食欲のないお子さんでも自分で選んで食べられることがあるので。

 

2-2. 水分補給について 

――体調が悪いと水分補給を嫌がるお子さんも多いと聞きますが、お預かりのときはどうしていますか?

赤江:インフルエンザになると高熱が出るので、脱水症状には十分気を付けています。

お茶やお水だけでなく、経口補水液やスポーツドリンクなど、電解質を含んだものをできるだけ多く飲んでもらうようにしています。

高熱のときは、30分に1回は必ず水分補給の時間をつくります。咳が多いお子さんなら、咳が出るたびに一口飲ませています。

1日に与える水分の量は事務局と相談し、看護師の指導のもと、お子さんの年齢や症状に合わせて決めています。

例えば2歳のお子さんを8時間お預かりする場合は、食事とは別に、だいたい午前に200ml、午後に200mlを目標に与えることが多いですね。

お子さんが水分補給を嫌がる場合は、スプーンですくって口に運んだり、コップで「乾杯」をして楽しい雰囲気をつくったりしています。

好きなジュースを勧めたり、水気の多い果物やゼリーを食べさせて水分を摂れるようにすることもあります。

 2-3. 気をつけるポイントについて

――保育の時は、他にはどんなことに気を付けていますか?

赤江:インフルエンザでは高熱が出るため、熱性けいれんが心配です。熱の推移や入眠時の様子などは、注意深く観察するようにしています。

空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。

加湿器がない場合は、濡れタオルをお部屋に干すだけでも効果があります。特に咳が多いお子さんの場合は、枕元に濡れタオルを置いてあげると咳が出にくくなることもあります。

あとは、とにかく安全第一を徹底しています。高熱があっても動きまわりたがるお子さんは多いので、座った状態で落ち着いて楽しめる遊びを提案します。

その子が好きなものを折り紙で作ったり、折り紙にシールを貼ったり顔を描いたりすると喜ぶお子さんが多いですね。

少し大きなお子さんだと、一緒にすごろくなどの自作のおもちゃを作ることもあるのですが、お子さんの想像力にはいつも驚かされています。

「自分で作った」という嬉しさがあるので、夢中で遊んでくれます。

 

 2-4. 解熱剤の使用について

――なるほど。ちなみに高熱が出ている場合は、保育中に解熱剤を使うこともあるのでしょうか?

お医者さんから薬を処方されていて、親御さんから「薬を飲ませてほしい」と依頼があった場合は、親御さんに記入していただく「与薬依頼書」に基づいて与薬しています。

「熱が〇℃以上になったら使う」「熱が上がって眠れない場合に使う」など、使うタイミングや条件は、朝の引継ぎの際に親御さんと相談して決定します。

実際に薬を飲ませる前も必ず事務局に電話で相談し、親御さんに確認を取ったうえで飲ませています。

 

2-5. 病児保育を利用する際の準備について

――インフルエンザのお子さんを病児保育に預けるときは、親御さんはどんなものを用意したらいいでしょうか?

赤江:高熱が出ていると食べる・飲むのを嫌がるお子さんは多いので、食事や飲み物は複数の種類をご用意いただけると助かります。

高熱で汗をかきますし、せき込んで嘔吐してしまうこともあるので、着替えは2~3着ご用意ください。

タオルを使う場面も多くなるので、フェイスタオルが2枚、バスタオルが1枚ほどあるとありがたいです。

あとはクーリング用の保冷剤と、保冷剤を包むためのタオルがあると助かりますね。

家族間での感染を防ぎたい場合は、お子さんが使ったティッシュを他のゴミと分けて捨てるためのビニール袋もご用意ください。

 

2-6. 家族の罹患予防について

――インフルエンザは家族間感染も心配ですね。家族がうつらないようにするためには、どのようなことに気を付けたらよいでしょうか?

赤江:当たり前のことですが、まずは手洗い・うがいを徹底し、栄養のあるものを食べ、睡眠を十分に摂って免疫力を上げておくことが大切です。

私たちレスキュー隊員も、普段から特に意識しています。

 あとはお家の中でウイルスが広がらないよう、しっかり加湿して50~60%の適切な湿度を保ちましょう。ときどき空気を入れ換えるのも大切です。

ワクチンを接種すれば必ず感染しないというわけではありませんが、重症化を防ぐことはできます。お子さんだけでなく、親御さんも接種しておくと安心です。

私たちレスキュー隊員は会社負担でワクチンを接種しています。どんなに気をつけていても病児保育で対応したお子さんから感染してしまうこともありますが、原因がはっきりしている場合は感染補償制度を利用することができます。体調不良のまま病児保育に対応することはありませんので、ご安心いただけると思います。

また、手洗いが大切なのはもちろんですが、親御さんもお子さんも、状況によってはすぐに手を洗えないこともあると思います。そんなときはひとまずアルコール消毒のジェルなどを使用して除菌し、落ち着いてから改めて手を洗いましょう

――これからの時期は特に気を付けたいですね。赤江さん、今日はありがとうございました!

 

3. 病児保育には預けられる?

フローレンスでは、一対一の訪問型病児保育のため、インフルエンザのお子さんもお預かり可能です。

病児保育当日はおやこレスキュー隊員がこのような記録をつけており、一日の保育終了後に親御さんにお渡ししています。お預かりの間の様子が詳しくわかるので、安心して預けられると好評です。

フローレンスの病児保育は、2005年のサービス開始以降、保育業界最多の累計保育件数100,000件の実績で培った経験と、研修体制をもとに、安心安全の病児保育を提供しています。

元気なときには保育園へ預けるのと同様に、病気のときには病児保育のプロを頼ってくださいね。

尚、訪問型病児保育と異なり、病児保育室は各施設ごとに利用条件、事前の登録が必要です。病児保育室の場合は、感染力の高い病気のお子さんをお預かりするための「隔離室」を利用することが多く、そうした部屋を設置しているかどうかや、空き状況によって預かりの可否が分かれます。

フローレンスでも病児保育室フローレンス初台、病児保育室フローレンス豊洲を運営しております。空き状況にもよりますが、これらの病児保育室にてインフルエンザのお子さんをお預かりすることができます。病児保育室は各施設ごとに利用条件、事前の登録が必要です。詳しくは下記サイトからご確認ください。

 

4.インフルエンザのケアポイントまとめ

最後に、本記事で紹介したインフルエンザのケアポイントをまとめておきます。

1.食事は、おかゆやうどんなど、 喉越しのいいもの、食べやすいものがおすすめ。食べたがらないときはお子さんの好きなゼリーやプリン、アイスクリームなどもgood

2.高熱のときは脱水症状に要注意。水分補給は、経口補水液やスポーツドリンクなど、電解質を含んだものがおすすめ。

3.感染予防のために、手洗い・うがい・除菌を徹底する。栄養のあるものを食べ、睡眠を十分に摂って免疫力を上げておくことが大切。

4.ワクチンを接種すれば必ず感染しないというわけではないが、重症化を防ぐことはできる。お子さんだけでなく、親御さんも接種しておくと安心。

ぜひ、ご家庭でのケアの参考にしてください!


いかがでしたでしょうか。

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※本記事は日本病児保育協会の「インフルエンザの予防と対策【2016年度版】昨年より早い流行の兆し!」(ナビタスクリニック 久住英二先生監修記事のリライト)を参考にしております。


ライター・インタビュアー:小晴
平成元年、福井県生まれ。早稲田大学法学部卒。出版社での雑誌編集、web制作会社でのライター業を経て、フリーライターとして活動中。「文章を通してひとの暮らしをよりよくする」をモットーに、美容からライフスタイルまで、女性向けを中心に幅広い分野の記事執筆を手がける。大学のゼミで「子どもの貧困」について研究した経験から、フローレンスの活動・信条に強い共感を抱き、コンテンツ制作に参画。