「フローレンスの病児保育」では、かつて健康なお子さんをお預かりしていた時代があります。コロナ禍の2020年、全国の学校での一斉休校の方針が政府から示された中で、元気なお子さんと、無くならない仕事の間で悩む親子のもとにかけつけるべく、健康児保育へ大きな挑戦をしたのです。
※2023年10月現在:感染症流行中につき、健康児保育は中止しています。
当時の挑戦を知っていただきたく、そんな健康なお子さんの保育を、フローレンスがどのようにして始めることになったのか、病児保育専門であった保育スタッフ(おやこレスキュー隊員)が健康児の保育と外遊びを開始するために、どのような準備や研修を行っていたのかを皆さんにお伝えします。
健康児保育の開始
2020年3月2日から全国公立小中高校の一斉休校の方針が政府から示されました。
それでも大人は仕事がなくなるわけではありません。困っている親子が多くいるのではと考えた私たちは、病児だけでなく健康なお子さんのお預かりも開始しました。
その結果、たくさんの方から健康児のご利用があり「とても助かった」というお声をいただきました。一方で、病児保育をベースに保育を行っていたため、健康なお子さんの保育として不十分な点も多くありました。
そのなかの一つが、「外遊びができないこと」でした。
病児保育は安静が第一です。回復して元気に過ごしているお子さんであっても、夕方に熱が上昇することは少なくありません。
そのため病児保育では、受診以外での外出は控え、室内で安静に過ごしながらお子さんに楽しい時間を過ごしてもらう保育を行っています。
しかし、健康児保育を行う中で、コロナ禍で長時間室内にいることにより、子どもたちにストレスが溜まっていたり、精神的に不安定になっている様子が見られました。
外遊びプロジェクトの始動!
「健やかな成長のため、健康なお子さんには外遊びが必要!」その想いから外遊びの実施を決めました。
「フローレンスの病児保育」の安心安全な保育の高い質をそのままに、外遊びを行うためにはどのような研修を行う必要があるのか。
それを検討するための「外遊びプロジェクト」が始動しました。
「外で遊ぶだけで大げさでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、創業以来大きな保育事故ゼロという実績は、保育スタッフ一人ひとりがポイントを抑えた観察と、高い集中力によって徹底した安全管理を行っているからに、ほかなりません。室内と屋外ではリスク管理が全く変わってきます。
プロジェクトメンバーの保育園での経験やノウハウを、病児保育の質の高いマンツーマン保育と融合させて、子どもにとって安全で楽しい外遊びができるように奮闘しました。
外遊び特有のリスク管理と「楽しい」の両立
怪我、交通事故、不審者への対応…
安全に保育をするために屋外では何に注意をしなければならないのかを調べました。ただ、どんなに保育者が気をつけていても、子どもの怪我を100%防ぐことは簡単ではありません。
そのため、今まで室内での想定だった応急処置も、外で怪我が発生した場合に備え、看護師チームが応急処置をまとめました。
そして、外遊びで一番忘れてはいけないのが子どもの「楽しさ」です。
リスク管理に比重を置きすぎると、こどもの行動に規制をかけることばかりになってしまいます。こどもの命を守りつつ、こどもにとって楽しい外遊びのためにはどうすれば良いのか、プロジェクトチームで検討しました。
おやこレスキュー隊員への研修
外出時に気をつけるべきポイントや子どもの安全を守る上でのルールを決めたら、次はおやこレスキュー隊員に向けた研修を行いました。
こちらは研修資料の一部です。
応急処置では看護師が直接研修を行いました。
また、外遊びの想定パターンを用意して、外遊びが実施できるか、どのような活動が適切かを考えるワークショップを行いました。
リモートでの研修実施となりましたが、隊員の真剣な様子が画面越しでも伝わります。
130名を超えるおやこレスキュー隊員全員に、2日に渡って研修を実施しました。
2020年9月14日、外遊び開始
激しい暑さも和らいできたタイミングで、健康なお子さんを対象に外遊びを開始しました。
実際に外遊びを行ったおやこレスキュー隊員からは、
「コロナ禍で外遊びがなかなか出来ていなかったようで、ぐっすりお昼寝している様子を見て親御さんも嬉しそうでした。」
「子どものいきいきとした様子を見て外遊びのメリットを感じることができました。」
という感想がありました。また親御さんからも「天気がよかったので、外へお散歩へ連れて行っていただけてとても嬉しかったです。」という声が届いています。
学び続ける保育のプロとして
外遊びを開始したらそれで終わりではありません。
外遊び開始後も、実際に外遊びを行ったおやこレスキュー隊員の振り返りを、全ての隊員に共有したり、外遊び中に「〇〇が起こったら?」というお題をもとに、おやこレスキュー隊員同士でディスカッションをしたりと、さらなる学びに繋げました。
※2023年10月現在:感染症流行中につき、健康児保育は中止しています。
いかがでしたでしょうか?
私たちは「おやこのピンチにかけつけ」続けるため、これまで様々な挑戦をしてきました。健康児保育は、その一つの例です。親子の困りごとは、例えばコロナ禍など時代によって移り変わり、その時々に求められる支援を行う必要があります。
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