新型コロナウイルス感染症の流行により、訪問型病児保育の需要が高まっている昨今。利用者さんのご自宅で病児保育をおこなうフローレンスでは、食物アレルギーのあるお子さんのお預かりも可能です。

 

フローレンスの病児保育では、スタッフ全員にアレルギーについての教育を徹底しており、安心してお子さんを預けることができます。それでも、具体的なイメージが湧きづらいため「本当に大丈夫なのかな?」「どんな対応をしてもらえるのか気になる」と感じている親御さんも少なくないのではないでしょうか。

 

そこで今回は、そんな親御さんの不安や疑問を解消するべく、病児保育業部の看護師・芦澤にインタビュー!

食物アレルギーの基礎知識、食物アレルギーのあるお子さんをお預かりする際に気をつけていること、親御さんにお願いしたいこと、緊急時の対応などについて聞きました。

病児保育事業部看護師:芦澤美帆
助産師や小児科外来の看護師、小児専門の訪問看護等を経て、2019年フローレンスに入社。現在はこどもレスキュー隊員(病児保育スタッフ)と親御さんのあいだに入って症状の相談に乗るほか、障害や慢性疾患等をお持ちのお子さんの訪問看護、豊洲の病児保育室での勤務をおこなっている。

アレルギーの基礎知識

アレルギーとは

――そもそも、アレルギーとはどのようなものなのでしょうか?

アレルギーとは、本来なら反応しなくてよい無害なものに対する過剰な免疫反応です。特定の物質(アレルゲン)に対し、体がブロックしようとしたり、体外に排出しようとしたりして、さまざまなアレルギー症状が現れます。アレルゲンは食べ物のほか、薬物やダニ、ほこり、カビ、ペットなど、人によって異なります。

――どのような症状が出ることがあるのでしょうか?

発疹やかゆみなどの皮膚の症状や、顔のむくみ、嘔吐などが現れます。アレルギーが原因で、喘息やアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎が起こることもあります。アレルゲンによって「アナフィラキシー」と呼ばれる状態が引き起こされると、短時間かつ急激に全身にアレルギー症状が出ます。

 

アナフィラキシー/アナフィラキシーショックとは

――アナフィラキシーについて詳しく教えてください。

発疹やかゆみなどの皮膚症状、唇の腫れなどの粘膜症状、激しい腹痛や繰り返す嘔吐などの消化器症状や、強いゼーゼー、息苦しさなどの呼吸器症状等が、2つ以上の臓器にまたがって時間経過と共に急速に悪化する状態です。

例えば皮膚症状と粘膜症状だけでは、アナフィラキシーとは言えません。しかし、急激に全身に発疹が拡がるなどの時は、アナフィラキシーに移行する可能性があるので注意深く観察します。アナフィラキシーの場合は、時間経過とともに悪化する状態のため、速やかな受診が必要です。

――「アナフィラキシーショック」という言葉も聞いたことがあるのですが、同じものでしょうか?

アナフィラキシーショックは、アナフィラキシー症状がさらに悪化し、血圧低下や意識レベルの低下、脱力などをきたすような状態です。ただちに対応しないと生命に関わるため、即座の救急搬送が必要になります。

食物アレルギーのお子さんをお預かりするときの対応

アレルギーの原因食材(アレルゲン)を持ち込まない

――食物アレルギーのあるお子さんを病児保育でお預かりするときは、通常以上に配慮が必要になりそうですね。

そうですね。アレルギーが起こらないよう、万全の対策をとっています。フローレンスの病児保育の会員サイトでは、お子さんのアレルギーの有無、どのようなアレルギーがあるか、症状出現時の対応について、「既往歴情報」への入力を親御さんにお願いしているんです。

フローレンスの病児保育会員サイトの画面(1)
フローレンスの病児保育会員サイトの画面(2)

こどもレスキュー隊員が会員さんのご自宅に伺う前には、その情報を事前に確認し、アレルギーの原因食材を持ち込まないようにしています。前日の夜や当日の朝に予約が入った場合も、必ず確認します。
 

お預かりする食事を引き継ぎで確認

――親御さんとこどもレスキュー隊員のあいだで行われる朝の引き継ぎでは、どのようなことを確認しているのでしょうか?

あらためてアレルギーについてお伺いしたうえで、アレルゲンが食事やおやつに含まれていないかを確認します。市販品も、外包装の原材料名を必ずチェックしますね。

重度のアレルギーがあるお子さんの場合は、その食品と同じ製造ライン上でアレルゲンが取り扱われていないかまでチェックします。

乳成分を原料にした製品と、同じ製造ラインで作られているものの例

そのほか、症状が現れたときは受診を代行するのか、薬を使用するのかなどの対応方法も確認します。受診先の病院をお伺いし、薬を使用する場合はお預かりしています。

お預かりに際して、親御さんにお願いしたいこと

アレルギー情報の共有

――食物アレルギーのお子さんを預けるとき、親御さんはどんな準備をすればいいのでしょうか?

まず、医師の診断がある、保育園や学校で特定の食べ物を除去してもらっている場合は、必ず事前に会員サイトでの入力をお願いします。アレルギーに関連した情報に変更があれば、随時修正をお願いしております。

過去にアナフィラキシーを起こしたことがあれば、そのことも申告してください。お預かりの際はいっそう注意し、アレルギーに関する既往歴の重度に応じて、より経験を積んだスタッフが対応させていただきます。

 

アレルゲンを含まない食事の用意

――当日の食事はどうすればいいでしょうか?

フローレンスの訪問型病児保育では、アレルギーの有無にかかわらず、親御さんが用意したもの以外をお子さんに食べさせないように徹底しています。アレルゲンを含まない食事やおやつをご家庭でご用意ください。

アレルゲンが含まれているものは、たとえ普段食べさせているものであってもお預かりを控えさせていただいています。

普段問題なく召し上がっていても、病気のときは免疫が落ち、アレルギー症状を引き起こしやすくなる可能性があるためです。食事をご用意する親御さんにはご負担をおかけしますが、安全な保育の提供のため、ご協力をお願いしています。

なお、アレルギーの有無が不明、症状が出たことがあるけれどアレルギーかどうかはわからないというお子さんもいるでしょう。そのような場合は、アレルギー登録がないとレスキュー隊員が持ち込む可能性を説明した上で、基本的には親御さんの判断におまかせしております。ただ、毎回明らかに症状が出現する場合などは、量に制限なく食べられるようになるまでアレルゲン登録をお願いしているケースもあります。

――卵アレルギーであっても卵黄だけなら食べられる場合もありますが、卵黄を使った食事やおやつを用意してもいいのでしょうか?

卵白がNG、卵黄がOKというお子さんであっても、加熱した全卵を量に制限なく食べられるようになるまでは、卵を使った食事やおやつはお預かりできません。つなぎに卵を使っているものも同様です。市販の食品を用意するときも、外包装の原材料名をご確認ください。

外包装のアレルギー物質表示の例

 

除去解除になったときは既往歴情報を変更

――アレルギーが治った場合、フローレンスに報告する必要はありますか?

医師から「保育園や学校でのアレルギー対応を解除しても問題ない(除去解除)」という指示をもらっている場合は、ぜひお知らせください。会員サイトの「既往症情報」のチェックを外していただくだけでOKです。

アレルギーが治った場合は「食物アレルギーはありますか?」の欄で「なし」を選択してください。

万が一アレルギー症状が出てしまったときの対応

軽い症状の場合は親御さんと対応を相談

――病児保育中にアレルギー症状が出てしまったときは、どのように対応していますか?

アナフィラキシーではない軽い症状の場合は、まずこどもレスキュー隊員から事務局に連絡します。事務局から親御さんにご連絡し、相談のうえで受診するかどうかを決めます。

お預かりしている抗アレルギー薬を使うときも、事前に事務局に連絡し、親御さんに確認してから飲ませています。

 

重篤な場合はすぐに救急搬送

――万が一、重篤な症状が出てしまった場合はどう対応しますか?

アナフィラキシーが起こったとき、アナフィラキシーの疑いがあるとき、アナフィラキシーショックに陥ったときはすみやかな治療が必要になるため、救急への連絡を優先します。親御さんにはその後、事務局を経由してご連絡しています。

フローレンスでは「アレルギーの原因食材を持ち込まない」「お預かりする食事のアレルギー確認」を徹底しているため、これまで一度もアナフィラキシーが起こったことはありません。

安心安全な病児保育提供のため、研修を通して一人ひとりのこどもレスキュー隊員がアレルギー対応について詳しく学び、万が一の事態に備えています。

 

研修を通してアレルギーの基礎~エピペンの打ち方までを習得

――こどもレスキュー隊員はどのような研修を受けているのでしょうか?

こどもレスキュー隊員としてひとり立ちする前の新人研修では、アレルギーの基礎やフローレンスでの対応について看護師が研修を行います。

ひとり立ちした後も、オンライン講義でアレルギーについて勉強できる環境を整え、学んだことが定着しているかをテストで確認します。

エピペンの使用イメージ

さらに、看護師の指導のもと「エピペン」という自己注射の打ち方の練習を学びます。

エピペンとは、アナフィラキシーの既往のある方や、アナフィラキシーを発現する可能性の高い方などに処方されるもの。そのようなお子さんを保育する際に、親御さんからお預かりすることがあります。アナフィラキシーやアナフィラキシーショックが起こったら救命のために打つ可能性があるため、打ち方をきちんと学んでおくことが大切です。

――いざというときの対処法を身につけたこどもレスキュー隊員になら、安心してお子さんを預けることができそうですね。どうもありがとうございました!

フローレンスの病児保育なら食物アレルギーのお子さんでも安心!

フローレンスの病児保育は、お子さんの安全と親御さんの安心を最優先に考え、アレルギーに対してさまざまな対策を講じているのが特徴です。普段食べさせていてもお預りできない食品もあるなど、アレルゲンの除去については他社と比べても厳格に対応しています。

お手数をおかけする場合もありますが、お子さんをアレルギーから守るためにぜひご協力をお願いします。何か不安なこと、気になることがあればなんでも相談してくださいね。

フローレンスは、子育てと仕事の両立を全力でサポートします!

「子どもが病気のときは病児保育に預けたいけれど、食物アレルギーがあるから不安」――そんな方も、病児保育のプロであるフローレンスにお任せください。

フローレンスでは病児保育の入会を随時受付中です!ぜひご入会をご検討ください。

 

病児保育室は各施設ごとに利用条件、事前の登録が必要です。詳しくは下記サイトからご確認ください。


ライター・インタビュアー:小晴
平成元年、福井県生まれ。早稲田大学法学部卒。出版社での雑誌編集、web制作会社でのライター業を経て、フリーライターとして活動中。「文章を通してひとの暮らしをよりよくする」をモットーに、美容からライフスタイルまで、女性向けを中心に幅広い分野の記事執筆を手がける。大学のゼミで「子どもの貧困」について研究した経験から、フローレンスの活動・信条に強い共感を抱き、コンテンツ制作に参画。