ご自宅での病児保育を提供しているフローレンスが、子どもの感染症とその期間の保育に関する情報をお伝えする「教えて!こどもレスキュー隊員」。
今回は、『ヘルパンギーナ』について最新情報をお届けします!
あまり聞きなれない名前の『ヘルパンギーナ』という病気ですが、初夏から秋にかけて流行する代表的な夏かぜの一つです。
そんなヘルパンギーナについて、まずは症状や感染経路などの基礎知識を解説します。
ヘルパンギーナの基礎知識
ヘルパンギーナは、コクサッキーA型ウイルスなどのエンテロウイルス属によって起こる感染症で、乳幼児に多い夏風邪の一種です。原因となるウイルスは複数あるため、繰り返しかかることもあります。
主な症状は、39~40℃の高熱が突然出る、上あごの粘膜や喉の奥に水疱ができるなど。
喉が痛くなるので、小さい子どもだと唾液を飲み込むのが難しくなり、よだれが多くなったり、嘔吐しやすくなったりすることもあります。
潜伏期間は3~6 日で、多くの場合は発症から2~4日間で自然に回復します。
ヘルパンギーナと手足口病は両方とも夏に流行する感染症であり、口の中や喉に水疱ができる、発熱するという似た症状を持ちます。
ただし、手や足などに出る発疹が特徴的な手足口病とは違い、ヘルパンギーナの場合は手や足に発疹は出ません。
また、手足口病の熱は37~38℃前後のことが多く、発熱しない場合もありますが、ヘルパンギーナの場合は39~40℃の高熱が突然出ます。
ヘルパンギーナは飛沫感染、接触感染によって拡がります。また、排泄物に含まれるウイルスが口を通して体内に入ることで感染する場合もあります。感染力が強く、症状が消えてからも数週間はウイルスが排出されます。
こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)2023年 5 月一部改訂」によると、罹患した子どもの登園の目安は、「発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」とされています。
登園するには、保護者が「登園届」を記入しなければならないことも。必要かどうかは、登園前に保育園に確認しておきましょう。
東京都感染症情報センターによると、2019年~2023年のヘルパンギーナの「定点医療期間当たりの患者報告数」の推移は以下のようになっています。
例年、ピークは第30週~第31週(7月下旬~8月上旬)あたりですが、今年は5月の半ばから流行が始まり、現在の感染者数は昨年のピークを遥かに上回っています。子どもの病気は突然始まるものですので、事前準備として病気の正しい知識とケアポイントを知っておきましょう。
ヘルパンギーナのケアはどうしたらいい?
それでは、子どもがヘルパンギーナに感染したときはどのようなケアをすればよいのでしょうか?
実際に各ご家庭で病児保育を行う「こどもレスキュー隊員」の大國に聞いてみました!
――子どもがヘルパンギーナにかかったときは、どんな食事を与えたらいいのでしょうか?
大國: 喉の痛みがあるので、スープやゼリー飲料、ヨーグルト、アイスクリームなど、喉越しがいいものを与えています。
スープの具が大きいと食べられないこともあるので、ご用意していただく際は、具材を小さく切っていただけると助かります。
――水分補給についてはどうですか?
大國: ヘルパンギーナにかかっているときは、喉が痛いせいで飲み物を飲むのを嫌がるお子さんも多いです。
高熱が出る病気でもあるので、脱水症状にならないよう気をつける必要があります。ポカリスエットや水、お茶などを、量は少量ずつでも回数を多めに与えています。
ジュースだと、オレンジジュースは酸っぱくて刺激が強いかもしれません。できれば乳児用のジュースがいいですね。中でもぶどうジュースは、優しい味で飲みやすいのでおすすめです。
保育中は、20~30分に1回は必ず水分補給の時間を取っています。スポイトやスプーンで飲ませたり、楽しく飲めるように「乾杯」をしたりして、飲みやすいよう工夫しています。
――食事や水分補給以外には、どんなことに気を付けて保育していますか?
大國: ヘルパンギーナにかかると、39~40℃の高熱が出ることがあります。体が熱くなりやすいので、保冷剤をタオルで巻いて首の後ろやわきの下に当てる「クーリング」で熱を冷まします。
また、ヘルパンギーナは手足口病と症状が似ている病気なので、「ヘルパンギーナと診断されていたけれど、後から実は手足口病だったとわかった」というケースも実際にあります。
そのため、ヘルパンギーナと診断されていても発疹が出ていないか、全身をチェックするようにしています。
――なるほど。ヘルパンギーナで病児保育を利用するときは、親御さんはどんなものを用意したらいいのでしょうか?
大國: クーリングに使える保冷剤のほか、医師に確認をとったうえで、解熱鎮痛剤も用意していただけるとありがたいです。
喉が痛いと唾液をうまく飲み込めないお子さんが多いので、スタイやタオルも普段より多めに預けるようにしてください。
食事や飲み物も、喉が痛いお子さんがどれを食べてくれる・飲んでくれるかわからないので、いろんなものを用意していただけると助かりますね。
あとは、嘔吐してしまうこともあるので、処理用のタオルや雑巾、ビニール袋、洗面器などが必要です。おむつを2枚重ねて作る「おむつバケツ」は手軽に作れて処理も簡単なので、親御さんにもおすすめしています。
子どもの嘔吐?の時にオススメのアイテムをご紹介!
1.パンツ型オムツ2枚を用意します
2.穴の部分が重ならないように90度ずらして重ね入れます
3.ウエスト部分を折り返して完成!処分も簡単な使い捨てエチケット袋です?♀️
手洗いや消毒での予防もお忘れなく〜‼️#こどもレスキュー隊員の知恵袋 pic.twitter.com/7POjcGKACH
— 認定NPO法人フローレンス (@sprflorence) 2019年1月18日
おむつバケツの作り方はこちらの動画でチェックしてみてくださいね!
――ヘルパンギーナは感染力の強い病気だと聞きます。大人が伝染らないためにはどんなことに気を付けたらいいですか?
大國: まずは手洗い、うがい、アルコール消毒を徹底しましょう。排泄物に含まれるウイルスから感染することも多いので、おむつ替えやトイレのときは特に気を付けてください。
症状がおさまっても数週間はウイルスが排出されるので、しばらくは要注意です。
大國: ヘルパンギーナは喉から感染することもあるので、個人的には、保育のときはこまめな水分補給を心がけています。あとは気分転換・休養で体の疲れやストレスを溜めないようにしていますね。
――どうもありがとうございました!
病児保育には預けられる?
フローレンスでは、一対一の訪問型病児保育のため、ヘルパンギーナのお子さんもお預かり可能です。
病児保育当日はこどもレスキュー隊員がこのような記録をつけており、一日の保育終了後に親御さんにお渡ししています。お預かりの間の様子が詳しくわかるので、安心して預けられると好評です。
フローレンスは、子育てと仕事の両立を全力でサポートします!お子さんが病気の時は、ぜひ「病児保育のプロ」であるフローレンスを頼ってくださいね。
尚、訪問型病児保育と異なり、病児保育室は各施設ごとに利用条件、事前の登録が必要です。病児保育室の場合は、感染力の高い病気のお子さんをお預かりするための「隔離室」を利用することが多く、そうした部屋を設置しているかどうかや、空き状況によって預かりの可否が分かれます。
フローレンスでも病児保育室フローレンス初台、病児保育室フローレンス豊洲を運営しております。空き状況にもよりますが、これらの病児保育室にてヘルパンギーナのお子さんをお預かりすることができます。病児保育室は各施設ごとに利用条件、事前の登録が必要です。詳しくは下記サイトからご確認ください。
いかがでしたでしょうか。
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※1 本記事は日本病児保育協会の「【手足口病との違いは?】ヘルパンギーナを知ろう!」(山口小児科内科院長 山口義哉先生監修)を参考にしております。
ライター・インタビュアー:小晴
平成元年、福井県生まれ。早稲田大学法学部卒。出版社での雑誌編集、web制作会社でのライター業を経て、フリーライターとして活動中。「文章を通してひとの暮らしをよりよくする」をモットーに、美容からライフスタイルまで、女性向けを中心に幅広い分野の記事執筆を手がける。大学のゼミで「子どもの貧困」について研究した経験から、フローレンスの活動・信条に強い共感を抱き、コンテンツ制作に参画。