ここ最近、胃腸炎でフローレンスの病児保育を利用されている方が増えてきています。

そこで、今回はフローレンスでの胃腸炎のお子さんのケアについての記事を最新版にしてお届けします。

目次

1.感染性胃腸炎の基礎知識
1-1.潜伏期間はどれくらい?
1-2.症状の特徴は?
1-3.感染経路は?
1-4.流行状況は?
2.感染性胃腸炎のケアはどうしたらいい?
2-1.食事と水分補給について
2-2.ケアにおすすめのアイテムは?
2-3.感染を家族に広げないために
3.病児保育には預けられる?
3-1.フローレンスでは病児保育の入会を随時受付中です!
4.感染性胃腸炎のケアポイントまとめ

1.感染性胃腸炎の基礎知識

まずは感染性胃腸炎の基礎知識からお話します。

感染性胃腸炎とは、ノロウイルスやロタウイルスといったウイルスにより起こる、嘔吐や下痢などの症状が特徴の病気です。

1-1.潜伏期間はどれくらい?

ウイルスによって違いがあり、

・ノロウイルスの潜伏期間:24~48時間

・ロタウイルスの潜伏期間:24~72時間

と言われています。

その年により流行シーズンに若干のずれはありますが、ノロウイルス感染症が初冬(11月~1月)に流行がみられ、これと入れ替わるように早春(2月~4月)にロタウイルス感染症が始まることが多いようです。

1-2.症状の特徴は?

・ノロウイルス感染症

主な症状は、嘔気・嘔吐・下痢で、軽い発熱を伴うこともあります。嘔吐の回数は1日10回以上となる場合もありますが、高齢者などを除き重症化することはまれです。

・ロタウイルス感染症

主な症状は嘔吐・下痢・発熱で、熱は38度以上となる頻度が高いです。
激しい嘔吐・下痢による脱水で、入院となるケースも多くあります。酸味の発酵臭がある白色水様便が特徴的で、便の色が診断基準のひとつになります。

1-3.感染経路は?

糞口(経口)感染、接触感染、飛沫感染により感染します。

感染後の発症者や無症状病原体保有者との直接もしくは間接的接触による接触感染や、患者の嘔吐物や下痢便を介した飛沫感染等のヒト-ヒト感染によるものが主です。便中に多くのウイルスが排出され、また吐物の感染力も非常に強くなっています。

1-4.流行状況は?

東京都感染症情報センターによると、2018年~2022年の感染性胃腸炎の「定点医療期間当たりの患者報告数」の推移は以下のグラフのようになっています。

感染性胃腸炎の流行状況(2022年11月27日(第47週)時点│東京都感染症情報センターHPより)

例年同様、40週(10月初旬)あたりから感染者が増加し、10月に入り、東京都からも注意喚起がでています。

2.感染性胃腸炎のケアはどうしたらいい?

では、実際に子どもが感染性胃腸炎にかかってしまった場合、どのようにケアしたら良いのでしょうか?

こどもレスキュー隊員の百瀬に聞いてみました!

こどもレスキュー隊員・百瀬:
理系の大学を卒業後、保育系の通信制大学に編入。幼稚園免許・保育士免許を取得し、保育園で5年間勤務。様々な子どもと親子に関わる課題を解決していこうとするフローレンスの活動に惹かれ、2017年こどもレスキュー隊員として入社。

2-1.食事と水分補給について

――まずは胃腸炎のときに用意する食事について教えて下さい。

百瀬:胃や腸に負担のないものがよいと思います。お粥やパン粥がおすすめです。あとはうどん、お豆腐、煮野菜、スープ、お味噌汁も良いですね。果物だとバナナやりんご、おやつだとゼリーやプリンがおすすめです。

――なるほど。では、水分補給で大切なポイントはありますか?

百瀬:脱水を防ぐためには、水分を摂る際に電解質の補給も重要です。

「OS-1」のような経口補水液は水、電解質、糖質が適切な割合になっているので、脱水に対して効果的です。適切な割合の糖分は、水や電解質の吸収を速めてくれるそうです。

「アクアライト」「アクアソリタ」など、お子さん用のものがいくつか市販であるので、そういうものもいいですね。

経口補水液やスポーツドリンクを嫌がるお子さんも中にはいるので、そういう場合は麦茶や、柑橘系ではない果汁のジュース、乳児の場合は粉ミルクも良いでしょう。

病児保育でお預かりする際も、「卒乳に向けてミルクの量を減らしているけど、水分補給のためだったらいいかな」という方もいらっしゃいますね。

他にも、スープやお味噌汁の汁にも電解質が含まれているので、水分補給として飲むこともあります。

また、水分の取り方も配慮しています。

例えば、嘔吐がある場合には30分〜1時間ほど様子を見て、落ち着いていればスプーン1杯から、こまめに少しずつ量を増やしていきます。嘔吐や下痢の状態に合わせて、排出された水分を少しずつ摂取できるようにしていますね。

――お医者さんから絶食と言われているけど、子ども食べたがっている、そんなときはどうしたらよいのでしょう?

百瀬:年齢が低いお子さんは、なるべく食べ物が視界に入らないようにして、他の遊びに誘ってみることで気持ちがそちらに向くようにしています。

お医者さんから指示された期間によりますが、お話のわかるお子さんであれば、「時計の針がここまできたら、ちょっと食べてみようか」という風に声をかけています。

お子さんも、全く要求が受け入れられないとつらいと思うので、状況を伝えつつ、ここまでだったらできるよと見通しがつくように伝えると、少し前向きになれるかもしれません。

それを繰り返しながら、「今食べても気持ち悪くなかったね。じゃあ次はここまできたら、もう少し食べてみよう。」と言って、ちょっとずつ要求を満たしていって、食べたいという気持ちに応えられるようにしています。

――なるほど!反対に全然食べたがらない、飲みたがらないという時はどうしたらいいでしょうか?

百瀬:水分が取れていれば、食事は無理のない範囲でよいかと思います。

一方で、あまり飲みたがらないなあと思ったら、先手先手で対応しています。

遊びの中で飲めるようにしていったり、自分がちょっと飲む姿を見せて「カンパイしようか」と楽しい雰囲気の中で飲めるように工夫します。飲んでほしいとこちらが焦ると、それがお子さんにも伝わって「イヤだ!」となってしまったりするので、自然な流れで水分を取れるようにしています。

自分のペースで飲みたい場合もあるので、お子さんの手の届く位置に飲み物を置くと、自分から飲み始めることもありますよ。

楽しく飲めるのが一番ですが、頑張って水分摂取した時には「頑張って飲めたね」などの声掛けをしています。“あなたの頑張りをみていたよ”と共有し、“自分で自分の体のケアをする”ということを意識していけるといいなと、思いを込めています。

――遊びの中で飲めるようにする、というのはどういう感じなのでしょうか?

百瀬:ぬいぐるみにコップ持たせるようにして、「ワンワンに飲んでもらおうかな?あ、美味しいって言ってる!◯◯ちゃんも飲んでみる?」と誘ってみたりしています。

トーマスが好きなお子さんのときには、機関車って水を補充するので、「トーマスここでお水いれます。◯◯くんも一緒に飲みまーす!」という流れで飲んでもらったこともありますね。

2-2.ケアにおすすめのアイテムは?

-―胃腸炎のお子さんの看病におすすめのアイテムや、病児保育を利用するときにあると良いものを教えて下さい!

百瀬:嘔吐や下痢で汚れることが想定されるので、病児保育のときには、お着替えやタオル類を多めにご用意して頂いています。あとは嘔吐を処理するための洗面器や、ビニール袋、捨てても良いタオルなどでしょうか。

ご家庭でケアをする際にも、オムツ替えを寝て行うお子さんの場合は、オムツ替えシートやペットシーツがあると、おむつ替え中の下痢なども受け止めることができますね。

使い捨てだと洗濯物も減りますし、家庭内の感染リスクが下がるのでおすすめです。

嘔吐を受け止めるのに、おむつバケツを利用するのもいいですね。

2-3.感染を家族に広げないために

――家族の間で胃腸炎の感染を広げないためにはどうしたらよいでしょうか?

百瀬:お子さんから伝染らないようにするためには、オムツ替えの際にマスクと手袋をして、なるべく直接触らないようにしています。あとは手洗い・うがい・消毒を徹底して体の中に入れないようにするのがおすすめです。

胃腸炎に罹っている家族がいる間はタオルは別にしたり、その期間だけペーパタオルに切り替えるという方法もあります。

――なるほど、ありがとうございました!

ノロウイルス・ロタウイルスは次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効です。

お家にある塩素系漂白剤(※成分に「次亜塩素酸ナトリウム」が含まれているもの)で簡単に作れますので参考にしてみてくださいね。

3.病児保育には預けられる?

フローレンスでは、一対一の訪問型病児保育のため、胃腸炎のお子さんもお預かり可能です。

一方で、病児保育室の場合は、感染力の高い病気のお子さんをお預かりするための「隔離室」を利用することが多く、そうした部屋を設置しているかどうかや、空き状況によって預かりの可否が分かれます。

フローレンスでも病児保育室フローレンス初台、病児保育室フローレンス豊洲を運営しております。空き状況にもよりますが、これらの病児保育室にて感染性胃腸炎のお子さんをお預かりすることができます。

病児保育室は各施設ごとに利用条件、事前の登録が必要です。

詳しくは下記サイトからご確認ください。

3-1.フローレンスでは病児保育の入会を随時受付中です!

フローレンスの病児保育では、こどもレスキュー隊員がこのような記録をつけており、一日の保育終了後に親御さんにお渡ししています。

お預かりの間の様子が詳しくわかるので、安心して預けられると好評です!

フローレンスの病児保育は、当日朝8時までの依頼に対して100%保育スタッフを派遣する日本初の訪問型病児保育です。

2004年のサービス開始以降、保育業界最多の累計保育件数10万件の実績で培った経験と、研修体制をもとに、安心安全の病児保育を提供しています。

「明日使いたい!」といった喫緊のニーズにも対応しておりますので、ぜひ登録をご検討ください。

※ただし入会規定数に達した場合は事務局指定の月からのご利用開始をご案内をする場合がございます。

4.感染性胃腸炎のケアポイントまとめ

最後に、本記事で紹介した感染性胃腸炎のケアポイントをまとめておきます。

1.食事は、胃腸に負担のかからないお粥やうどん、バナナやりんごがおすすめ。水分が取れていれば、食事は無理のない範囲でOK

2.水分補給は、電解質も合わせて取れる経口補水液がおすすめ。嘔吐がある場合はスプーン1杯から様子を見て、30分~1時間空けて少しずつ量を増やす

3.感染予防のために、手洗い・うがい・消毒を徹底する。タオルを分ける、ペーパータオルに切り替えるのもよい

ぜひ、ご家庭でのケアの参考にしてください!


※本記事は日本病児保育協会の「【突然の吐き気は感染性胃腸炎をうたがえ!】ノロからロタへ、まるでリレーのように!~冬に流行する感染性胃腸炎対策~」(山口小児科内科山口義哉院長監修記事)を参考にしております。


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