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2023/09/29

【保育スタッフの座談会を大公開】明日の保育をみんなで学ぼう~保育フェス2023~開催レポート

    


今回は、6月にフローレンスが開催したイベント「明日の保育をみんなで学ぼう~保育フェス2023~」より、病児保育/認可保育/障害児保育・支援(※)を担う3名のスタッフが登壇した座談会の様子をお届けします。

保育のリアルな事例をご紹介しながら、明日の保育をより良いものにするために、参加者みなさんとも一緒に学び合う場となりました。それぞれの保育現場で大切にしていることや、違いや魅力、フローレンスならではの多職種連携など、日々現場に立つ3人が感じていることや今後について、じっくりと語り合いました。みなさんの明日の保育をより良くするためのヒントが、この中にあるかもしれません!ぜひご一読ください。

(※)
病児保育:風邪やお熱のお子さんのご自宅に行き、1対1で保育します。子どもが急に熱を出した、けれど今日に限って仕事を休めない…そんな働く親御さんたちのピンチに駆けつけるお仕事です。
認可保育:子どもたちの「やってみたい」を応援するシチズンシップ保育を実践。12名定員の小規模認可保育所「おうち保育園」と認可保育所「みんなのみらいをつくる保育園」があります。
障害児保育・支援:施設型の「ヘレン」、訪問型の「アニー」「ナンシー」の3つのサービスで、重度の障害や医療的ケアのあるお子さんの保育・支援をしています。

この座談会のメンバー

戸田さん

(「病児保育」スタッフ)

大嶋さん

(「おうち保育園」スタッフ)

高瀬さん

(「障害児保育園ヘレン」スタッフ)


フローレンスの保育に共通している「こどもが真ん中」

戸田(病児保育スタッフ):フローレンスの病児保育は1対1の訪問保育です。日によって訪問するご家庭が異なるので、初対面のお子さんとの関わりが多いのが特徴です。

病状によってはできるだけ安静に看護に努めるようにしていますが、保育園や学校をお休みして一日中家のなかで過ごすお子さんなので、基本はその子のやりたいことが実現できるように保育をしています。「家の中のおもちゃで何して遊びたい?」と聞いて、やりたいことにとことん付き合うようにしていますね。

逆に、やりたくないことを無理強いすることもしないようにしています。例えば、親御さんから食事時間の希望を聞くことがあるんですが、遊びたくてまだ食べたくないというお子さんの場合には、「あともう10分だけ遊ぼうね!」と、お子さんの希望にできるだけ寄り添うようにしています。そのために、親御さんとの朝の引き継ぎでタイムスケジュールを確認する際に「時間は若干ずれても大丈夫ですか?」と確認するようにしています。

一日一緒にいて安心して過ごせた、楽しかったと思ってもらえるようにお子さんと過ごしています。

大嶋(おうち保育園スタッフ):私は、「大人の都合で保育を行わない」ことを心がけています。何をするにも子どもに問いかけて、子どもがどうしたいのかという気持ちを尊重する、子どもがどうしてそうしたいかの背景を考えて、子どもに寄り添った保育を意識しています。

先日「ドコノコキノコ」という歌がすごく流行った時期があって(笑)。特にYouTubeが好きな一人の子がよくその歌を聞いていて、公園できのこを見つけると触ろうとするんです。でも、素人の目で見たら、触っていいきのこか、だめなきのこかわからないから、その場では触るのを止めちゃったんです。

どうにか触れる機会を作ってあげたいと思ったときに「きのこ栽培」を思いついて、しいたけを保育園で育て始めました。その子も毎日しいたけの成長を見るのが楽しみになっていて。実はその子は「ドコノコキノコ」の歌は好きなんですけど、きのこは叩きつけるほど食べるのが嫌いでした(笑)。でも栽培したそのしいたけは食べられたんです。美味しさに気づいたみたいで、その日からきのこを食べられるようになりました。

他の子も感化されて一緒に食べるようになったり、きのこの種類に詳しくなったりしました。一人の子の好きなものを突き詰めた結果、みんなに自然に良い影響があったなと思います。

高瀬(障害児保育園ヘレンスタッフ):ヘレンのお子さんは、言葉でのコミュニケーションをとることが難しいことが多いのですが、表情や仕草や声でこちらに問いかけてくれるので、そういった変化を日々見逃さないようにすることをとても大切にしています。

声掛けに対してすぐに手を動かしたり口が動いたりなどの反応が返ってくるお子さんと、ちょっと時間が経って気づいてから返ってくるお子さんと様々なので、お子さんに合わせてこちらが待つことも大切だと意識しています。

他のお子さんの動きを目で追ったりなど、集団の中で少しずつお子さん同士が影響しあっていることが、ヘレンの集団保育の良さだなと感じます。

「見守る保育」「寄り添う保育」

戸田(病児保育スタッフ):基本は、お子さんがやりたいことに関しては見守る姿勢をとっていますね。身に危険があること、例えば指を切ってしまうとか、どこかに落ちてしまうようなリスクがある時は、止める声掛けをすることもあります。

家の中にも危険はたくさんあるんです。例えば、台所に包丁を置いたままになっているのを見つけたら、すーっと奥へ移動させたりしていますね。保育を始める前に、親御さんと引き継ぎをしながら家の中の危険をチェックして、お子さんが触ってしまいそうなものをできるだけ片付けたり、見えないところにこっそり寄せたり、という工夫をしています。

大嶋(おうち保育園スタッフ):おうち保育園では子どもたち一人ひとりに寄り添うことをとても大事にしています。どうしても一度に全員の声を聞くことは難しいこともあるのですが、一人ひとりの声をないがしろにしないことを意識しています。

すぐに叶えてあげられないことも、気持ちは受け止める、聞いてくれているなという姿勢を、子どもたちにしっかり伝わるような声掛けや振る舞いを意識しています。

多様な職種のスタッフが保育を支える

司会:
障害児保育園ヘレンでは、保育スタッフだけではなく看護師・リハビリスタッフ等多様な職種の方が協働しています。日々どのように連携を取っていますか。

高瀬(障害児保育園ヘレンスタッフ):障害児保育園ヘレンには、保育スタッフ・看護師・リハビリスタッフ等様々な職種のスタッフがいます。朝のミーティングではスタッフ全員で、送迎時に保護者の方とお話したことや、前日の送迎時に話したことを共有しています。

また、週に1回の保育ミーティングで、例えば「来週はどのような活動をするか?」と、日々の保育活動のことや、「このお子さんにはこういう課題に対して、どういう遊びでアプローチしていくか?」とお子さんへの支援について話しています。

司会:
ありがとうございます。病児保育ではどうですか?

戸田(病児保育スタッフ):保育に必要なことは朝の引き継ぎで親御さんから聞かせていただくので、だいたいはその内容で一日過ごせます。

困ったことが起きたとき、例えば泣き止まない!とか、鼻血が出て止まらない!というときには、事務局に電話で相談します。看護師チームがいるので、症状で困ったときにはアドバイスしてもらえますし、一人でどうしても対応できない場合は、別のスタッフに一時的にヘルプに来てもらうといった対応をしてもらうこともあります。私の後ろに支えてくれる人がいるという安心感がありますね。

保護者の気持ちに寄り添う保育

戸田(病児保育スタッフ):保護者の方とは、朝は15分ぐらい、終了時は10分くらいの引き継ぎの時間しか言葉を交わすことはないので、短い時間の間でお子さんの保育にとって必要なことを聞き出さなければいけません。

そんな慌ただしい引き継ぎの中でも、私自身も子育てしながら仕事をする大変さは身をもって知っているので「あなたと私はお友達よ」ぐらいの気持ちでいつも接しています。同じ立場だからこそ分かる苦労もあるかと思いますので、半分ママ友気分です。引き継ぎを受けているときに、親御さんが呟いたことに対して、「そうですね」と反応することもあります。

大嶋(おうち保育園スタッフ):私はお父さん・お母さんにも、お子さんと同じくらい気にかけるようにしています。育児に悩みがあったり、仕事疲れで余裕がなかったりなど、日々表情が違うこともあるので、どんなときも寄り添いながら、お迎えの時には一日の終わりにほっとしてもらえるような対応を心がけています。

高瀬(障害児保育園ヘレンスタッフ):保護者の方と直接顔を合わせる機会は、送迎の時や病院への受診時に早退でお迎えに来ていただく時などのタイミングがあって、そういったときにしっかりお話ができるようにしています。

特に送迎時には、もちろん体調面のこともお伝えしますが「活動の中でこんな姿がありましたよ」「昨日と比べて今日はこんな風でしたよ」とお子さんの様子をお伝えすると、「家ではそんな様子は見られないんですけど、園ではそんなふうに活動してるんですね」と、保護者の方の笑顔が見られることもあるので、そういう変化はしっかりお伝えしていきたいなと思っています。

お子さんだけでなく、保護者の方の体調や様子もいつも気にかけていて、気づいたことはご本人に聞いてみつつ、次の日のミーティングで保護者の方の様子をスタッフと共有することもあります。

ヘレンに入園するまで、家から出たことがない、お母さん・お父さんと離れたことがないお子さんばかりですので、とても不安になられる保護者の方が多いです。医療的ケアが必要なお子さんだと、体力面で本当に週5日通えるんだろうかというところが一番の不安要素だと思うので、今までのお子さんたちの事例をお伝えしたり、もし体調を崩して休んでしまっても、そのことが理由で通えなくなるようなことはないですよ!ということをお伝えしています。

入園前の慣らし保育で、お母さんやお父さんと初めて離れたからこそ見えてくるお子さんの姿もあり、最初は不安な保護者の方も、慣らし保育を通して少し余裕ができて安心されていることが多い印象です。

より良い保育を実現していくために学び続ける

戸田(病児保育スタッフ):今日、みなさんのお話を聞いて、お子さんや保護者に対応するときの気持ちや対応の仕方は保育の形に関係なく共通するものがあるなと感じました。集団保育と1対1の保育、それぞれの良さを感じながら保育していきたいです。これまでも、おうち保育園にヘルプで勤務をしたときに、保育園の先生方の対応を見て、自分の対応の仕方を見直したこともありました。今後も良いところを取り入れていけると良いなと思います。

大嶋(おうち保育園スタッフ):今日お二人の素敵なお話を聞いて、改めてプロ意識が高いなと感じました。

実は私はもともと病児保育事業部にいたのですが、その経験は今でも活きています。保育園の中でお子さんが熱を出したり発疹ができてしまったときに、他のスタッフが一番に私に見せに来てくれて、そこから親御さんが迎えに来るまで、病児保育みたいになることがあります。今日のお話を、これからの日々の保育でも活かしていきたいですね。

高瀬(障害児保育園ヘレンスタッフ):今日こういったそれぞれのエピソードやお子さんに対しての思い、保護者とのかかわりについてお話を聞けて、自分自身をもう一度見直すきっかけになりました。ありがとうございました。

いかがでしたでしょうか。座談会から、色とりどりのフローレンスの保育を感じていただけたら嬉しいです。

さいごに

”10月29日(日)開催『こどもを社会で育むアイデア展覧会 ~保育・看護の力で未来を変える!~』”のご紹介です。

この記事の座談会のように、保育・看護の現場スタッフが登壇するイベントです。

保育や看護のお仕事を通じて「子どもを取り巻く社会課題の解決に関わりたい」と考えているみなさんに、フローレンスが考えるアイデアや実際の取組み、その想いをご紹介します。

『こどもを社会で育むアイデア展覧会 ~保育・看護の力で未来を変える!~』では、転職を考えている方はもちろん、保育や看護を通して未来につながる支援のあり方を一緒に考えたい方のご参加も大歓迎です。イベントでお会いできることを楽しみにしています!




フローレンスでは、社会問題や働き方など、これからもさまざまなコンテンツを発信していきます。
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